この章では、病気と口臭について述べています。 まずは、誰もが一度は聞いたことのある口内の病気、「歯周病」と口臭の関係について ご紹介したいと思います。 ところで、歯周病とはどんな病気で、発症するとどんな症状があるのでしょうか。

歯周病は、歯の表面につくプラーク（歯垢）によって引き起こされる、文字通り「歯の周りの病気」です。

歯周病と言っても、さまざまな種類があり、歯肉の炎症による出血や腫れを特徴とする歯肉炎と、歯を支えている歯槽骨が破壊される歯周炎の大きく二つに分けられます。

一般的に言われている歯槽膿漏（しそうのうろう）は、成人性歯周炎を指し、「歯周組織から膿（うみ）が出る」症状のことを言います。 歯周病は、歯周組織がプラーク（歯垢）に含まれている歯周病菌（細菌）に感染することにより、歯肉（歯茎）の腫れ、出血などが起こり、最終的には歯が抜けてしまう病気です。

この病気は、日本人が歯を失うもっとも大きな原因となっています。初期の段階では、自覚症状がほとんどないので放置してしまうことが多いのですが、実際には日本人の成人の約80％が歯周病（歯肉炎または歯周炎）にかかっているといわれています。実は、この歯周病は、口臭と深い関係があります。

病的口臭の約８〜９割が口腔内に原因があります。
しかも、そのほとんどが歯周病です。

歯周病患者は、歯肉と歯の隙間である歯周ポケットが通常よりも深く形成されます。
深さ４mm以上の歯周ポケットがある場合では、口臭の原因となる臭い成分メチルメルカプタンなどの揮発性硫化物の産生量が多くなると言われています。そのため、歯周病患者の口臭が強いケースが多く、口臭改善に歯周病の治療をすることが多大変多いです。

口臭の原因としてもっとも多いタイプの歯周病は、成人性歯周病(歯槽膿漏)です。この病気は、30代あたりから始まり比較的ゆっくりと進行していきます。初期にはほとんど自覚症状がなく、ブラッシング時の歯肉出血がある程度ですが、進行すると、歯肉が腫れたり、膿がでたりする歯肉炎が発生します。ここまで症状が進行すると、口臭がかなり強烈なものになります。この歯肉炎とともに歯周炎を放置してしまうと、口臭はさらに強烈になり、歯槽骨が破壊され、歯がぐらついて、最終的には抜けてしまいます。

歯肉炎を軽度の段階で適切な治療を行えば、歯を支えている歯槽骨を歯周炎によって破壊されることがないため、大事な歯を失うことを回避できます。自覚症状がないからと放置せず、定期的に歯科検診を受けるなど、早期発見・早期治療が最も大切です。